三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは?公式・証明・計算問題を解説

三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは、直角三角形の3辺の長さの関係を表す定理で、公式は a² + b² = c²(cは斜辺)です。直角をはさむ2辺がわかれば斜辺が、斜辺と1辺がわかれば残りの辺が計算できます。この記事では、公式の意味、代表的な証明、有名な辺の比(3:4:5など)、例題5問をわかりやすく解説します。

三平方の定理とは?公式の意味

直角三角形において a² + b² = c² (a, b: 直角をはさむ2辺、c: 斜辺)

斜辺とは、直角の向かい側にある一番長い辺のことです。この定理は「直角をはさむ2辺それぞれを1辺とする正方形の面積の和が、斜辺を1辺とする正方形の面積に等しい」という意味を持ちます。

たとえば a = 3, b = 4 の直角三角形なら、c² = 3² + 4² = 9 + 16 = 25 なので c = 5 です。古代ギリシャの数学者ピタゴラスの名にちなんで「ピタゴラスの定理」とも呼ばれます。

逆も成り立つ(三平方の定理の逆)

3辺が a² + b² = c² を満たす三角形は、必ず c を斜辺とする直角三角形になります。これを「三平方の定理の逆」といい、「3辺が 5, 12, 13 の三角形は直角三角形か?」のような判定問題に使います(5² + 12² = 25 + 144 = 169 = 13² なので直角三角形です)。

代表的な証明:正方形を使った面積の証明

三平方の定理には100種類以上の証明がありますが、ここでは中学生でも理解できる、正方形を使った証明を紹介します。

証明の手順

  1. 1辺の長さが (a + b) の大きな正方形を用意します
  2. その内部に、直角をはさむ2辺が a, b、斜辺が c の合同な直角三角形を4枚、それぞれの直角三角形の斜辺が内側を向くように、大きな正方形の四隅に配置します
  3. すると中央に、1辺が c の正方形(面積 c²)ができます

ここで、大きな正方形の面積を2通りで表します。

  • 全体の面積: (a + b)² = a² + 2ab + b²
  • 部品の合計: 直角三角形4枚 + 中央の正方形 = 4 × (1/2 × a × b) + c² = 2ab + c²

2つは同じ面積なので、

a² + 2ab + b² = 2ab + c²

両辺から 2ab を引くと、

a² + b² = c²

これで証明できました。図形の並べ替えと面積の計算だけで示せる、美しい証明です。

覚えておきたい有名な辺の比

入試では、次の辺の比が「見た瞬間にわかる」と計算が一気に速くなります。

タイプ 辺の比 特徴
ピタゴラス数(1) 3 : 4 : 5 最も有名。6:8:10、9:12:15も同じ比
ピタゴラス数(2) 5 : 12 : 13 入試頻出
ピタゴラス数(3) 8 : 15 : 17 難関校で登場
直角二等辺三角形 1 : 1 : √2 45°・45°・90°。正方形の対角線
30°・60°・90°の三角形 1 : √3 : 2 正三角形の半分。斜辺が最長の「2」
「1 : √3 : 2」で最大の辺は2(斜辺)、次が√3 ≒ 1.73 です。「√3が斜辺」と勘違いするミスが非常に多いので注意しましょう。

例題5問に挑戦

例題1:斜辺を求める(基本)

直角をはさむ2辺が 3cm と 4cm の直角三角形の斜辺の長さを求めてください。

解答: c² = 3² + 4² = 9 + 16 = 25 より c = 5。斜辺は 5cm です。

例題2:斜辺以外の辺を求める

斜辺が 10cm、他の1辺が 6cm の直角三角形の残りの辺を求めてください。

解答: b² = 10² - 6² = 100 - 36 = 64 より b = 8。残りの辺は 8cm です。斜辺以外を求めるときは「引き算」になる点がポイントです。

例題3:正方形の対角線

1辺が 5cm の正方形の対角線の長さを求めてください。

解答: 対角線は、直角をはさむ2辺が5cmの直角二等辺三角形の斜辺です。c² = 5² + 5² = 50 より c = √50 = 5√2。対角線は 5√2 cm(約7.07cm)です。1 : 1 : √2 の比を使えば「1辺 × √2」と即答できます。

例題4:30°・60°・90°の三角形

30°、60°、90°の直角三角形で、斜辺が 8cm のとき、残りの2辺を求めてください。

解答: 辺の比は 1 : √3 : 2 で、斜辺が「2」にあたります。8 ÷ 2 = 4 が比の「1」に対応するので、最も短い辺(30°の向かい)は 4cm、もう1辺(60°の向かい)は 4√3 cm(約6.93cm)です。検算すると 4² + (4√3)² = 16 + 48 = 64 = 8² で一致します。

例題5:座標平面上の2点間の距離

座標平面上の2点 A(1, 2)、B(4, 6) の間の距離を求めてください。

解答: 横の差は 4 - 1 = 3、縦の差は 6 - 2 = 4。この2つを直角をはさむ2辺とする直角三角形を考えると、ABは斜辺になります。AB² = 3² + 4² = 25 より AB = 5 です。2点間の距離の公式 √((x₂ - x₁)² + (y₂ - y₁)²) は、三平方の定理そのものです。

よくあるミスと注意点

三平方の定理の問題で失点しやすいポイントを3つ挙げます。

  • 斜辺の取り違え: c² = a² + b² の「c」は必ず斜辺(直角の向かいの最長の辺)です。斜辺以外の辺を求めるのに足し算をしてしまうミスが最多です。「斜辺を求めるなら足す、それ以外は引く」と覚えましょう。
  • ルートの付け忘れ・簡約忘れ: c² = 50 のとき、答えは 50 ではなく √50 = 5√2 です。2乗を外す操作と、√の中を最も簡単な形に直す操作を忘れないようにしましょう。
  • 直角三角形以外への適用: 三平方の定理が使えるのは直角三角形だけです。直角がない三角形では、補助線を引いて直角三角形を作ってから使います。

また、三平方の定理は平面図形だけでなく立体にも使えます。たとえば縦a・横b・高さcの直方体の対角線は、定理を2回使うことで √(a² + b² + c²) と求められます。高校入試の空間図形では頻出のテクニックです。

まとめ

  • 三平方の定理は「a² + b² = c²」。cは直角の向かいにある斜辺(最長の辺)
  • 逆も成り立ち、3辺の長さから直角三角形かどうかを判定できる
  • 正方形の面積を2通りに表すことで、中学の知識だけで証明できる
  • 3:4:5、5:12:13、1:1:√2、1:√3:2 の辺の比は暗記必須
  • 座標平面の2点間の距離も三平方の定理で求められる